ゴールボール日本女子、3連覇達成。攻守の要の新戦力が自信をつかむ (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文・写真 text&photo by Hoshino Kyoko

 だが、当の高橋にセンター転向の可能性を尋ねると、「真ん中でボールを受け続けたり、指示を出したりなんて、私には無理。ウィングで点を取る方が楽しいし......」と、そんな答えが返ってきた記憶がある。

 とはいえ、世界選手権から帰国し、以降の合宿から少しずつセンターでの起用が増えいくと、定位置になった。本人がセンターを強く志願したわけではないが、思い返すと世界選手権の時に背中を押される出来事があったという。「世界の得点女王」と称されるトルコのエース、セブダ・アルトノロクから、「ナイス・ディフェンス!」と声をかけられ、「うれしかったし、(自身の守備に)自信を持てた」と高橋は明かす。

 今年に入ると、「センター高橋」は定着。春の海外遠征では試合での起用も増え、「世界女王のロシアを破って国際大会で銀メダル獲得にも貢献」(市川HC)するなど結果を出したことで、長年センターを担ってきた浦田理恵に替わり、10月に東京で開催された国際強化大会「ジャパンパラ競技大会」で、日本代表Aチームのセンターに起用された。

 意気込んで臨んだジャパンパラだったが、自責点もいくつか記録してしまい、「せっかく選んでいただいたのに......」と悔しい大会になった。ボールを後ろに弾いてしまう脚の出し方の悪いクセや手先に来たボールを押し返せないなど守備面での課題がいくつか見つかった。それから2カ月、合宿や個人練習で課題克服に取り組み、「しっかり修正できたので、自信をもってやるべきことをやろう」と臨めたのが今大会だった。

 市川HCによれば、決勝戦前夜に高橋はセンターの重圧について、「これをずっと一人でやってきた浦田さん、本当に尊敬......」と話していたという。大会終了後にセンターとしてやり遂げた感想を尋ねたときには、「めっちゃ楽しかったです。自分で点は取れないけど、点を取る動きに貢献できる」と満面の笑顔が返ってきた。「センターは無理」と言っていた高橋はもういない。

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