ゴールボール日本女子、3連覇達成。
攻守の要の新戦力が自信をつかむ

  • 星野恭子●取材・文・写真 text&photo by Hoshino Kyoko

 3連覇とはいえ、6勝1敗のうち4試合は1点差での勝利と緊張を強いられる試合も多かったが、得点されても大きく崩れることはなく、少ない得点チャンスを逃さず戦った。

 天摩キャプテンは、「東京パラも楽な試合はひとつもないと思う。一戦ずつ戦いながらチームとして成長し、表彰台の一番高いところに上がれるよう、さらに強くなりたい」と意気込みを口にした。

■自覚と自信をつかんだ、期待の新星

 市川HCは今大会を振り返り、代表6選手それぞれが持ち味を発揮したと称えた上で、なかでもタイトルのかかる国際公式大会では初めてセンターに入り、定評ある日本守備の要として全試合フル出場を果たした高橋利恵子を、「緊張もあったなか、自責点ゼロ。若いセンター1枚で、今大会(全7試合)を乗り切れたことは意味がある」と評価した。

 高橋自身も、「課題だった失点をなくすために守備フォームの改善に取り組んできたが、その成果が発揮できたのはよかった。自分なりにしっかり守れて自信になった」と充実の表情で大会を振り返った。

 1998年、広島市に生まれた高橋は目の難病により幼い頃から弱視で、中学は広島市の特別支援学校で学び、高校は東京の筑波大学附属視覚特別支援学校に進んだ。ゴールボールと出会ったのは高2の時。同校ゴールボール部から、「試合のメンバーが足りない」と声をかけられたのがきっかけだ。3年時は受験勉強などもあって競技を離れたが、大学入学後の2016年春に復帰。徐々に頭角を現し、日本ゴールボール協会の強化指定選手にも選ばれた。

 大きな転機は2018年6月。4年に一度開かれる世界選手権(スウェーデン)に臨む日本代表6名のひとりに初選出されたのだ。この時のポジションはセンターでなく、ライトだったが、市川HCは代表抜擢の理由を「高い守備力」とし、「センターの適性もある」と話していた。出場機会は少なかったが、たしかに安定した守備を披露した。

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