車いすバスケ男子日本代表が強豪国に勝利。東京パラで呪縛を解けるか

  • 斎藤寿子●取材・文・写真 text&photo by Saito Hisako

 11月29日~12月7日の9日間にわたって、タイ・パタヤで行なわれた車いすバスケットボールの「アジアオセアニアチャンピオンシップス(AOC)」。及川晋平ヘッドコーチ(HC)率いる男子日本代表は、予選リーグ1位通過を果たしたが、決勝トーナメントでは準決勝、3位決定戦で敗れ、4位という結果となった。

インサイドの攻防を制しリバウンドを獲得して、オーストラリアに勝利した日本インサイドの攻防を制しリバウンドを獲得して、オーストラリアに勝利した日本 しかし、今大会の予選では世界3位のオーストラリア、同4位のイランを撃破し、日本の実力が世界トップレベルにあることを証明した。そこには、新たな強みを手にした"及川ジャパン"の姿があった。

 日本代表の最大の使命――。それはオーストラリアとイランの2強を破ることにあったと言っても過言ではない。

 昨年の世界選手権で、ベスト4以上を狙った日本は、予選で当時ヨーロッパ王者のトルコを撃破。決勝トーナメント1回戦で負けはしたものの、リオデジャネイロパラリンピック銀メダルのスペインと競り合い、わずか2点差という接戦を演じた。さらに9、10位決定戦では、リオで敗れたオランダから勝利を挙げ、日本はヨーロッパの強豪と遜色ない実力があることを示した。

 しかし、結果は9位。前回の世界選手権、リオと続く"9位"の呪縛を解くことはできず、順位だけを見れば"停滞"ととられても仕方がなかった。

 その印象を打破すべく臨んだ2カ月後のアジアパラ競技大会では、イランとの決勝で敗れ、世界トップクラスにある実力を結果で示すことはできなかった。そのため、東京パラリンピックに向けて最後の公式戦となった今回のAOCが、実力を示すラストチャンスでもあった。

 予選リーグの初戦、地元タイに64-37で圧勝して、好発進した日本は、第2戦で最初のヤマ場、イラン戦を迎えた。オールコートのマンツーマンでのプレスディフェンスでイランの攻撃の芽を摘んだ日本は、第1クォーターで19-12とリードを奪った。さらにハーフコートのディフェンスに切り替えた第2クォーターでも36-22と試合の主導権を握ると、第3クォーター以降はさらに引き離し、71-51と下馬評を覆す大差での勝利を挙げた。

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