絶対王者を追いつめたパラバドの
若きエースが、単複銅メダル獲得

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 梶原はダブルスパートナーのベテラン、村山浩(SMBCグリーンサービス)からも多くを学ぶ。「村山さんは(障がいが重い)WH1ですが、相手を困惑させるショットがあって、勉強になります」。ふたりは東京パラポイントレース初戦の3月のトルコ国際からペアを組み始めた。この時はベスト16だったが、4月のドバイ国際ではファイナルに進出。普段は国際大会にあまり出場しない中国ペアも参加した8月の世界選手権ではベスト8に残り、10月のデンマーク国際ではついに頂点に立った。そして今大会、世界を牽引する韓国から3ペア、中国から2ペアが出場するなかで、ベスト4に残った意味は大きい。

 村山は梶原について、こう話す。

「組み始めた頃は"大丈夫?"と声をかける感じだったけれど、今では本当に頼れるパートナー。トルコやドバイの時と比べて、かなり広範囲を大暉がカバーしてくれています。僕たちの形ができあがってきたことが、結果につながっていると思います」

 デンマーク国際で梶原はシングルスも制した。国際大会での優勝は初めての経験だ。「自分の調子が良かったしピークを持って行けたけど、この大会は今回のようなトップクラスの選手がエントリーしていなかったので......」と謙遜するが、「1年前は自分がこんな舞台に立つなんて、想像していなかった。だからうれしかったし、自信になりました」と笑顔を見せる。そして、こう続ける。

「でも、ここまで来られたのは、僕一人の力じゃないです。教えてくれた先輩たちやコーチ、練習の送迎をしてくれた両親に感謝しています。たしかに成長はできたと思うけれど、まだまだ。これからも精一杯やっていきたいです」

 今大会の開幕日である11月13日に18歳の誕生日を迎えたばかりの梶原。若きニューヒーローが描く右肩上がりの成長曲線に、さらに注目が集まりそうだ。

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