兎澤朋美が走り幅跳びで東京パラ内定。素顔は研究熱心な「質問魔」だ (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 さらにラッキーなことに、ポポフ氏は今季から日本パラ陸上競技連盟のテクニカルアドバイザーにも就任。日本チーム全体に対し、合宿や試合での直接指導のほか、電子メールやSNSを活用し、選手にアドバイスを与えているという。ポポフ氏によれば、兎澤は他の選手とは比べものにならないほど熱心な「質問魔」で、「跳躍の技術から義足の調整、世界で戦うマインドなど多種多様な内容を頻繁に尋ねてくる」と言う。

ポポフコーチからの助言をもとに、東京パラに向けて課題をこなしていくポポフコーチからの助言をもとに、東京パラに向けて課題をこなしていく 兎澤は、「ポポフさん自身も義足を使って世界の頂点を取った人。心から尊敬しているし、彼からは学ぶことしかない」と絶対の信頼を寄せる。

 ドバイ世界選手権にもドイツから駆け付けたポポフコーチはスタンド最前列で走り幅跳びの試合を見守った。「競技中も1本1本に、細かいポイントをアドバイスしてもらえたので、頼もしかった」と兎澤は話す。

 走り幅跳びの記録向上にも走力は不可欠だ。課題は中間走で後傾し、体幹がブレ出し、スピードが速くなると無意識に怖いという思いから、ブレーキをかけてしまいがちになること。ここが改善されれば、「もっといい記録が出ると思う」と兎澤は自らの走りを分析した。

 一方、兎澤の力走をスタンドから見届けたポポフコーチは、「素晴らしい走りだった。あとは怖がらず、前傾姿勢を続けられれば、もっとタイムアップできる」。奇しくも師弟の評価は一致した。

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