パラバドミントン里見紗李奈が初出場V。
鈴木亜弥子は銀で強さを見せた

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text by Araki Miharu

 24日、ダブルスでも準決勝に臨む予定だったが、パートナーの山崎悠麻(NTT都市開発)が体調不良のため棄権。この日は山崎のユニフォームをコートサイドに置き、仲間の想いとともにシングルスを戦った。奮闘する里見に、チームメートも大声援を送って背中を押した。

「一人じゃないと思った。力になった」と、里見は目を潤ませる。

 中学の3年間はバドミントン部で汗を流した。その後、交通事故に遭い車いす生活に。2017年5月からパラバドミントンに本格的に取り組み始めた。国際大会に出場するようになり、まだ1年強。飛躍を続ける21歳は、はやくも世界からマークされる存在となった。だが、本人は「次もまた勝てるわけじゃない。誰に対しても挑戦者のつもりで挑む」と慢心はせず、地道に試合数と経験を重ねていくと心に決めている。東京2020パラリンピックの頂点はその先に見えてくる。

 上肢障がいSU5のディフェンディングチャンピオンの鈴木は、前回同様、決勝でライバルの楊秋霞(中国)と対戦した。第1ゲームは0-6から挽回して21点を取り鈴木が先取。第2ゲームも鈴木が先に11点を奪って折り返したが、楊の粘りに後半は体力を奪われ、反撃のチャンスを与えてしまう。

 そこから2ゲームを連取され、逆転負けを喫した鈴木は、「競っても最後に負けるということは、私のほうがミスが多かったということ。フットワークをもっと速くしないとシャトルに触れないし、いいショットも打てない」と、悔しさをにじませながら敗戦を振り返り、課題の下半身のさらなる強化を誓う。

 鈴木は、両親や姉がバドミントンをやっているバドミントン一家に生まれ、小学3年で競技をスタート。先天的に右腕が肩から上がらない障がいがあるが、中学では健常者に交じり、関東大会で女子ダブルスを制し、高校では団体戦でインターハイに出場。高校3年の時には全日本ジュニア選手権大会で女子ダブルス2位になるなどの好成績をおさめてきた。

 大学の体育会バドミントン部の3年の時に、初めてパラバドミントンの大会に出場。2009年の世界選手権、翌年のアジアパラ競技大会の「世界の二大大会」を制し、世界にその名を知らしめた。その後、いったん現役を引退したものの、東京2020パラリンピックにバドミントンが正式競技として採用されることが決まり、退路を断って「パラリンピックの金メダル」を獲るため、15年の秋にカムバックした。

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