車いすラグビー日本代表、倉橋香衣。
女性だからの注目に「正直悔しい」

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 2017年12月、女性選手の強化を目的に女性だけの大会がパリで開かれ、倉橋をはじめ、世界各地から約40名が参加した。女性しかいないコートは違和感があり、スピードやタックルの強さも男性選手とは違っていた。だが、「ラグビーが好き」という気持ちや、パスの正確性やポジション取りのうまさなど、それぞれの個性を生かしたプレーや試合運びには、「男女差はない」と感じたという。

 だからこそ、「女性だから」でなく、「倉橋だから」と起用される選手になることを目標に置く。持ち点0.5点の選手として役割をしっかり果たせる選手となり、「ただいるだけでなく、チームにプラスとなる選手になりたい」と意気込む。

 今年10月には東京で初開催される国際公式戦、「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」が控える。日本をはじめ、世界ランク上位から8チーム(オーストラリア、アメリカ、日本、カナダ、イギリス、フランス、ニュージーランド、ブラジル)が顔をそろえる予定で、「パラリンピック前哨戦」とも言われる重要な大会だ。

「こんな大きな大会を、日本で戦うのは初めての経験なので楽しみ。まずは、しっかりメンバー入りできるように課題を一つずつ克服したいです」

 どんなときもただ前を向き、できることを増やしてきた倉橋。「0.5点の選手」として確かな自信を持てたとき、日本代表の戦力はさらなる厚みを増すことになる。

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