水泳は『家族』。東京パラリンピックを目指す女子高生スイマーが急成長 (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 また、間近で見て、鍛え上げられた上半身の筋肉と肩の柔軟性にも驚かされた。明るく親しみやすい人柄にもますます引きつけられ、「もっと近づきたい」とモチベーションも高まった。

 進化を確実に感じると同時に、課題も自覚する。

「がむしゃらに泳ぐことでタイムを出してきたけれど、この先は技術も高めないといけない」

平日は学校が終わってから、練習に打ち込んでいる平日は学校が終わってから、練習に打ち込んでいる

 たとえば、自由形では水中で水をしっかりキャッチできるような手の動きに改良中だ。長丁場の400mではより速いペースのままスピードを維持できる持久力向上も課題に挙げる。

 今年、急激にレベルアップした平泳ぎも、後半のペースダウンを抑え、イーブンで泳ぐことを目標にしている。また、上半身のパワーに頼るのでなく、下半身も含めた体全体を使うフォームに修正中だ。そのために欠かせないのが腹筋を含めた体幹強化だ。マヒもあるため、なかなか意識しにくいというが、コツコツやり続けることを強みにする。

 もうひとつ、今年手ごたえを感じた点として、「メンタルの進化」を挙げる。もともとは、「あがり症」で、緊張しすぎて体に力が入り、実力を発揮できないレースも多かったという。

 2016年3月、リオパラリンピック代表権がかかった「2016春季記録会」で、小池は派遣標準記録を切れず代表入りを逃した。独特の緊張感が張り詰める会場の雰囲気と、「絶対に記録を出さなければ」と自分で自分を追い込んでしまったことも敗因だったと振り返る。

 だが、悔しい思いは人を成長させる。「レース経験を重ねることで、むしろ、『水泳が好き。楽しもう』と思えるようになった」という。

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