プロ車いすバスケ選手は日本で1人。
ドイツの強豪チームで孤軍奮闘中

  • 斎藤寿子●取材・文・写真 text&photo by Saito Hisako

 さて、車いすバスケットボールのブンデスリーガは「プロリーグ」と紹介されることがあるが、実際はプロリーグではなく、クラブリーグである。それはスペインやイタリアなどほかの海外リーグも同じだ。しかし、各リーグの強豪チームにはプロ選手もいる。つまり、クラブリーグ、クラブチームの中に「プロ契約」の選手が存在するという構図となっている。プロ選手は一流プレーヤーとして認められた"選ばれし存在"。その1人が香西で、彼は現在、日本人で唯一の「プロ車いすバスケットボールプレーヤー」なのだ。

 香西は、大学卒業後の2013-14シーズンから4年にわたってハンブルガーSVでプレーし、昨シーズン、RSVランディルに移籍した。リーグでは常に優勝争いをし、過去には欧州クラブチャンピオンにも輝いたことがあるブンデスリーガ随一の強豪チームだ。無論、各国のトッププレーヤーたちが顔を揃え、香西が試合に出場できる保証はどこにもなかった。しかし、さらなる成長を求め、より厳しい場に身を置くことを決意したのだ。

 移籍1年目の昨シーズン、香西は世界選手権予選のために1カ月遅れでのチーム合流となったものの、合流した週の試合からいきなりスターティングメンバーに抜擢された。すると、それまで負けが込んでいたチームは連勝街道を走り始め、香西は"救世主"的存在となった。

 その後、香西は最終戦まで主力としてチームに大きく貢献した。最大のライバルチームとの試合では、香西が決勝ゴールを挙げる活躍を見せ、チームはドイツカップで優勝。それは香西にとってブンデスリーガ5シーズン目にして初めてのタイトルだった。そのほか、リーグ戦では準優勝、ユーロカップでもベスト4進出を果たし、充実したシーズンとなった。

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