一発屋の気分はもういらない。パラ陸上、芦田創は新環境で進化を求める (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by Murakami Shogo、YUTAKA/AFLO SPORT(競技)

 そこから変化を求め、1月から2月の約1カ月間をオーストラリアのシドニーで過ごした。日本より暖かく、以前からいいコーチがいると聞いていたからだ。

 門をたたいたのは、跳躍専門のプロコーチ、アレックス・スチュワート氏のところだった。世界のトップジャンパーらも師事する名コーチで、とくに踏切動作の指導に定評がある。

 走り幅跳びを2つのパートに分けるとすれば、助走パートと踏み切りからの跳躍に分けられる。芦田はこれまでの4年間、どちらかと言えば、助走パートの強化に取り組んできた。短距離走を専門とする早稲田大学競走部の礒繁雄コーチとの二人三脚で、速い助走を跳躍につなげるスタイルを磨き、結果を出してきた。

 踏切動作にフォーカスするアプローチは新たな挑戦だったが、「変化」を求めて踏み出した一歩だった。

 スチュワートコーチの指導は、「早稲田でのトレーニングとは全然違い、違和感があった」と言う。例えば、助走での腿上げの高さや地面をプッシュする力加減、踏切での足さばきのタイミングなど、「やりすぎじゃない?」と思うほど、価値観を崩された。従来の足の使い方と異なるため、慣れないうちは痛みも出た。

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