2018.11.28

井上雄彦が見た車いすバスケ
男子世界選手権。日本は予選1位の快挙!

  • 井上雄彦●取材・文市川光治(スタジオ光)●構成・文名古桂士、伊藤真吾(X-1)●撮影・文

8月20日【GAME3】ブラジル戦
イタリア、トルコに2連勝して最高の入りの後、中1日おいてリオ5位のブラジルが相手。ベスト4を目標に掲げる日本の現在地を確かめるのには絶好の相手と言える。自信が過信にならないように、常にチャレンジャーであることを確認しながら、いい結果を求めて試合に臨む。

不沈艦こと藤本怜央に試合後、話を聞く 実は昨日の時点で、勝っても負けても日本のグループ1位通過がすでに決まっていた。気持ちの持って行き方が難しい試合になることが予想された。

 試合は2Q以降ブラジルのペースで進んでいく。日本はディフェンスから流れを作ろうとするがチャンスにシュートを決めきれず攻撃にリズムが生まれない。ボールと人の両方がよく動くのが日本の目指すバスケットだが、この日は人が止まってボールだけ動かしている状態になり、その結果相手ディフェンスを動かして攻める形になっていなかった。ブラジルに傾いていった勝負の流れを取り戻すにはあと一歩何かが足りなかった。それがもしかしたら「負けても1位通過」ゆえの切迫感のなさだったかもしれない。

 結果は69-61の敗戦。2勝1敗でC組1位通過。

 この大会の中でもなおオフェンスに関してはどこをどうすればうまくいくかを見極める試行錯誤が続いているが、この敗戦については特に引きずる必要はない。すっぱり切り替えることが得策である。

 日本の進化は誰の目にも見える形になった。こうして世界の強豪とわたり合えるようになったことの背景には、2016年リオパラリンピックの後、及川HC+京谷和幸アシスタントコーチ(AC)の体制での強化の継続を決定したことがある。長い時間を一緒に過ごしてチームは成熟していく。京谷ACが指導するアンダー世代からA代表の主力を担う選手が育っていることも含めて、その歩みが形になってきているのだ。

 そしてこれは今も道半ばであることがこの日確認できた。

「我々は100%を出さなくてはどこにも勝てない」(及川HC)

 明日から決勝トーナメント。本当の戦いがここから始まる。

(つづく)

週刊ヤングジャンプ×Sportiva共同編集

「東京2020 パラリンピックジャンプ vol.2」
井上雄彦先生の車いすバスケ観戦記ほか、
充実のパラコミック、選手インタビューも多数掲載!
2018年11月29日発売

詳しくはこちら>>

関連記事