車いすバスケU23。課題山積みも新戦力の躍動でチーム力UPに期待 (4ページ目)

  • 斎藤寿子●取材・文 text by Saito Hisako
  • photo by X-1

 そこで京谷HCはあえてプレッシャーをかけた。

「残り2分であと1ゴールだぞ」

 その結果、その1ゴールを決めることができなかったのだ。

「プレッシャーをかけたとたんに、それまで決めていたシュートをポロポロ落とすということは、まだまだ心が弱いという証拠。たった1本のシュートを決められなかったことが、いかに大きいか。例えば1点ビハインドで残り10秒という試合の時に、たった1本が決められなかったことで負けてしまうわけです。若い彼らにとっては、自分たちの弱さを知るいい経験になったと思います」

 厳しい勝負の世界を感じながらも、"新しい芽"として台頭したのが、知野、北風大雅、筧裕輝の3選手。いずれも今年初めてU23代表メンバーに選出されたたニューカマーだ。

 チーム最年少の17歳、高校2年の知野は、一見大人しそうに見えるが、京谷HCは彼の秘めた闘志に期待を寄せている。

「非常に負けず嫌いの性格で、内に秘めたものはチームの中で最もあるかもしれない。だからこそ、成長スピードがすごいですよ。見るたびに、どんどんうまくなっていて驚きます」

 そんな負けいず嫌いが垣間見えたのが、予選リーグのタイ戦だ。ピック&ロールでレイアップシュートにいった知野だったが、シュートは外れてしまう。しかし、そのリバウンドボールを相手に囲まれ転倒しながらも、小さく細い体で懸命に掴み、絶対に離さなかったのだ。

 また、今大会が代表初選出となった筧は、車いすバスケを始めて2年に満たない21歳。中学時代から継続してきたウエイトトレーニングの賜物である腕力とスタミナに自信を持つ。

「コートに出たら、オフェンスからディフェンス、ディフェンスからオフェンスへと、とにかく全力で走ります」と語っていた通り、代表デビュー戦となった予選リーグのタイ戦でも臆することなく「全力疾走」でチームに貢献。さらに代表初シュートを1本目で決めるなど、メンタルの強さも見せた。

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