車いすバスケ日本代表は、
強豪の壁を越えるために何をすべきか?

  • 斎藤寿子●取材・文 text by Saito Hisako
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

「最後のシュートが入らなかったからではなく、本をただせば最初のシュートが入らなかったから負けたとも言える」と言う及川晋平ヘッドコーチ(HC)の言葉は、1本1本のシュートがいかに重要かを示唆している。裏を返せば、日本は「ミスひとつで勝負の行方が変わる」ほどの高いレベルで、世界と戦っているということの証でもある。

 今大会の結果は、酷な言い方をすれば、男子日本代表にとって"惜敗"という言葉だけで片づけることができない、大きな1敗だった。現在の日本は、世界トップレベルの仲間入りをしつつあり、それは、世界の車いすバスケ界を驚かせた世界選手権で明確となった。だからこそ、今大会は、それを結果で証明しなければならなかった。

 つまり、世界選手権でベスト4に進出したイランを破ることで、世界選手権で目標としていた「ベスト4以上」に到達する実力が日本にあると示すことが"使命"と言っても過言ではなかった。

「この結果を重く受け止めなければならない」

 そう語った及川HCの表情には、 "悔しさ"を通り越した"怒り"にも似た感情があるように感じられた。

 だが一方で、各国が成長する中で、日本はどのチームよりもリオ後の2年間での成長スピードが速い。チームの目標である「成長し続けること」、その足を一度も止めてはいない。

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