車いすバスケ日本代表は、強豪の壁を越えるために何をすべきか? (2ページ目)

  • 斎藤寿子●取材・文 text by Saito Hisako
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 それは一見、日本の好守備によって「アウトサイドから打たせている」ととらえることもできたかもしれない。しかし、今回に限っては違っていた。1カ月半前の世界選手権を見ていれば一目瞭然で、中国は"あえて"アウトサイドで勝負してきていたのだ。理由はひとつ。自信があるからにほかならない。

 しかし、日本のよさが出ていなかったわけではない。たとえば、リバウンドだ。オフェンスでは、中国が11に対し日本は13。ディフェンスに関しては両者ともに30と、高さで上回る中国に対し、日本は攻守ともにリバウンドではひけをとらなかった。残念だったのは、それが日本が武器とする"走るバスケ"につなげられなかったことだ。中国のノンカウントプレス(得点できなかった場合のプレスディフェンス)が行く手を阻み、いいディフェンスリバウンドを取っても、そこから速攻というシーンが生まれにくかった。

 今回の対戦で浮上した課題は多く、山積している。高さで上回ることが不可能な分、やはり走力やシュート力、そして瞬時の判断力で上回らなければ、中国、ひいては世界に勝つことはできないことが明確となった。また、ミスをしないことも重要だ。ターンオーバーがわずか2だった中国に対し、日本は16。そのターンオーバーから中国に18得点を与えている。

 一方、長い目で見た場合、日本は"先見の明"と言うべき挑戦をすることで、中国との違いを出している。選手層の厚さだ。現在の中国は、固定したメンバーに頼っている。世界選手権を見ても、今大会での日本との決勝を見ても、プレータイムが40分という選手が必ず3人ほどいる。そのほかもほとんどが決まったメンバーのみでの交代だ。翻って日本は"全員バスケ"を実践している。

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