車いすテニス、国枝慎吾が3連覇と上地結衣が初V。東京パラ出場権を獲得 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

「アジアチャンピオンのタイトルを獲ることが今年一番の目標だったので、"やっと獲れた"という感じでした。勝ててよかった」としながらも、「勝ち方としては納得していない。ショットの精度を上げていかないと、この先、体格に勝るヨーロッパ勢には勝てない」と課題を口にする。

 現在、世界ランク2位。昨年はシングルスのグランドスラム3大会で優勝し、今年は全仏オープンを制すなど着実に実績を積んでいる。否応なしに周囲の東京パラへの期待も高まるが、本人は「課題がいっぱいありすぎる」と満足していない。

 強化してきたトップスピンやスライスを磨きつつ、昨年は車いすの座面を高くするなど模索してきた。さらに今年は、競技用車いすをこれまでのアルミ製からマグネシウム製に変えてスピードアップを目指した。この後は、いったんアルミ製に戻し、再び試行錯誤を重ねる予定だ。

 視線の先にあるのは、世界1位のデグロートの姿だ。「パワーで押されるし、打開策がまだ見つからない。準備が必要」と話し、さらなる自分のテニスの追求を誓った。

 男子は、前回の仁川大会決勝と同じカードになった。国枝が6-2、6-3で眞田卓(凸版印刷)との日本人対決を制し、3連覇を達成。第1セットの第3ゲーム、先にブレークしたのは眞田。力強いサーブとストロークで国枝を追い込んだ。だが、国枝はすぐにブレークバックに成功すると、そこから4ゲームを連取し、眞田を突き放した。日が暮れ始めた第2セットは試合途中で照明が灯されたものの、「見づらかった」と国枝。第6ゲームには、ボールを追うなかでフェンスに接触し、転倒する場面もあった。幸い大事には至らず、3つのゲームをブレークし、勝利した。

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