始めて半年で国際大会優勝。パラ陸上に
現れた超新星、井谷俊介はまだまだ伸びる

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 五十嵐和博●写真(人物) photo by Igarashi Kazuhiro

 東京2020パラリンピックの開幕まで2年を切り、選手強化が急がれるなか、パラ陸上界で鮮烈なデビューを果たしたのが、右脚義足のスプリンター、井谷俊介(ネッツトヨタ東京)だ。

今シーズン、目覚しい活躍をしている井谷俊介今シーズン、目覚しい活躍をしている井谷俊介 陸上競技を本格的に始めたのは昨年11月。わずか半年後の今年5月に中国・北京で行なわれた国際大会で初の公式戦に出場すると、男子T64(片下腿義足など)クラスの100mで12秒91をマークして優勝でデビュー戦を飾る。さらに、7月1日には国内初戦となる関東パラ陸上競技選手権大会(東京・町田)に出場し、12秒05で初優勝。しかも、100mと200mのアジア記録をもつパラリンピアン、佐藤圭太(トヨタ自動車)を0.02秒抑えての快挙だった。

「ケガの不調もあり、勝てるとは思っていなかったので驚きました。すごくうれしいです」

 その6日後に行なわれた、ジャパンパラ競技大会(群馬・前橋)では佐藤が巻き返し、2位に終わったが、記録は12秒01と再更新。一躍脚光を浴びる存在となった。

 とはいえ、「これまでの3レース。納得できた走りは1本もない」と胸の内を明かす。

 実は、北京大会の2日前、練習中に義足側の右太ももに肉離れを発症。ケガの完治を優先させ練習量を抑え、しつこく残る痛みや再発の不安を抱える中でのレースはすべて、100%の走りではなかった。

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