伸びしろだらけ!「 パラ・パワーリフティング」女子選手たちの挑戦 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 50kg級の中嶋明子は、パラカヌーの選手でもある。交通事故に遭い、車いすを利用する生活になった彼女は、左右で異なる麻痺があり、その解消のためにパラ・パワーリフティングを始めたそうだ。2016年に国内の競技会でデビューし、しばらくカヌーと並行していたが、現在はパラ・パワーリフティングで東京パラリンピック出場を目指している。

 自身も車いすに乗る世界的指導者で、コーチのジョン・エイモス氏には、「選手の障がいを理解し、自分だけのメニューを組んでくれる」と信頼を寄せる。普段は英語でやりとりをしているといい、「サイコロジカル(心理学的な)な考え方が私には合っている」と中嶋。

 彼女は京都工芸繊維大から東京大大学院に進んだ才女。現在は京都市の製薬会社に勤務するキャリアウーマンだ。競技と仕事の両立が原動力になっているといい、これからも自分らしく前進していくつもりだ。

 73kg級の坂元智香(大分銀行)もフルタイムで働くアスリート。パラ陸上の現役投てき選手でもあり、陸上のトレーニングの一環として取り組み始めたパラ・パワーリフティングで上を目指している。今大会、67kgを成功させ、自身が持つ日本記録を更新した。

 しかも、3回の試技すべてがオール白旗判定のパーフェクトという会心の出来。「重さを感じた試技もあったけれど、冷静にコントロールできた」と話すように、メンタルの充実が結果につながった。「もともと不安が先に来るタイプ」だったというが、今大会ではそれを払しょくする試技で女子選手の"大トリ"を見事に務め、自信を深めた。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る