伸びしろだらけ!「 パラ・パワーリフティング」女子選手たちの挑戦 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 たとえば、今大会に出場した女子選手のうち、55kg級のマクドナルド山本恵理(日本財団パラリンピックサポートセンター)は、仕事でパラスポーツイベントに関わった際に、パラ・パワーリフティングを体験したことがきっかけで競技を始めた。

 また、ジュニアの67kg級の森﨑可林(立命館守山高)は、昨年度のアスリート発掘事業「ジャパン・ライジングスター・プロジェクト」で連盟の吉田進理事長にスカウトされ、キャリアをスタートさせた。そして今やふたりは、それぞれの階級の日本記録保持者だ。世界の頂点への道のりは長いが、練習の成果が目に見えて現れることは、競技者のモチベーションになっているという。

「1kgでも重く」を目指し、今大会に臨んだ選手たち。「すごくいい勉強になった」と語るのは、41kg級の成毛美和(パワーハウスつくば)。日本代表として国際大会に出場するのは今大会が初めてで、中国をはじめとする海外勢のパフォーマンスを目に焼きつけた。

 背骨に側弯があり、身体の力の入り方に左右差があるという成毛。今回は48kgに挑戦して失敗に終わったが、「悔いはない」と話し、10月のアジアパラ競技大会に向けて修正を誓った。パラ・パワーリフティングが「楽しい」と語り、「女性でも、やってみたい人や好きな人は実はたくさんいると思います。いずれパラリンピック出場数の男女差をなくしたい」と言葉に力を込める。

 45kg級の小林浩美は、手足の末端神経と筋肉が徐々に失われていく難病を患う。上半身だけの力でバーベルを挙げるこの競技において、上半身にも障がいがある選手は珍しく、握力も少ないため、掌にのせるイメージで試技に臨むなど、工夫を凝らす。病気克服のため競技を始めたが、症状は改善しているという。今大会での自己ベスト更新はならなかったが、「コツコツとやっていきたい」と前を向いた。

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