31歳差の団結力。ウィルチェアーラグビー日本代表が世界王者に! (3ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 決勝後、「相手選手をもう少し長く止めたり、あと少しスペースを削ったり、まだまだやれたんじゃないかなという気持ちもありますけど、要所要所ではいい仕事ができたんじゃないかなって思います」と振り返った岸。地味な役割だが、「相手車いすをひっかけるのが快感」とこの競技の醍醐味を語っており、「ラグビーがすごく楽しい。こういうコートにいるっていうのはとても気持ちいいんです」と充実感を漂わせた。

 一方、チーム最年少16歳の橋本勝也(TOHOKU STORMERS)は、昨年4月に選手登録し、今年6月のカナダカップで国際戦デビューを果たしたばかりの高校1年生だ。リオ後、日本代表のヘッドコーチに就任したケビン・オアー氏が育成に力を入れている選手で、生まれつき手足に欠損の障がいがあり、障害が最も軽い3.5クラスの大砲になる素質を買われている。

 初戦のアイルランド戦に初出場した橋本は「チームがリードしていた状況だったのでやりやすかった」と振り返るも、終盤までリードされたスウェーデン戦や接戦を制したアメリカ戦は、ベンチで見守りながら「もし自分がコートに出たら、逆に点差を広げられちゃうんじゃないかな......」と不安な気持ちだったと明かす。

 だが、元来、負けず嫌いな性格。今大会は予選のオーストラリア戦で世界最速プレーヤーと呼ばれるライリー・バッドとのマッチアップを経験し、何度も転倒しながら、「いくら相手が格上とわかっていても、一対一で抜かれるのはすごく悔しい。ライリーは漕ぎ出しが速く、すべてがお手本になるし、自分がやりたいことをすべて見透かされている気がした。通用したところはひとつもない」と悔しさをあらわにした。

 オアー氏は、個性豊かな選手が揃うチームにさらなる可能性を感じている。

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