ベスト歩数は「19」から「17」へ。弱視ジャンパー澤田優蘭が今季好調 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 視覚に頼れない澤田の場合、助走距離と歩幅を確実に合わせるため、スタートから踏み切るまでの歩数を決めて、それを数えながら走っている。昨シーズンは「19歩」だったが、現在は「17歩」に固定する。それがスピードを生かした跳躍につながる、今のベストの歩数なのだという。

 100mには今年から本格的に取り組み始めた。それによってこれからスプリント力が上がれば、走り幅跳びの助走にも好影響を与える可能性がある。歩数を変えずに助走距離を延ばすことができれば、よりダイナミックな跳躍も期待できる。

 ただ、5m70を跳んだのはまだ1回のみ。今大会も、6本の試技のうち、5m台をマークしたのは5本目だけで、最後の6本目は、高く跳びすぎて落ちるような跳躍になり、失敗してしまった。「記録を意識するあまり、助走で突っ込みすぎてしまった」と反省を口にする。

 そしてこう言葉に力を込める。

「これからの練習では、助走の安定を第一に取り組みたい」

 次の大きな大会は、9月の日本選手権だ。それまでに、明確になった課題の修正に力を注ぐ。同時に、空中フォームの改善にも取り組み、助走のスピードを生かす理想の跳躍を追求していくつもりだ。10月には、代表に選ばれれば8年ぶりとなるアジアパラ競技大会が待っている。中国の選手が持つ5m74のアジア記録が、澤田にとってひとつの目指すべき数字になりそうだ。

 世界に視線を移すと、5m20~30なら入賞圏内だが、メダル獲得を狙うのであれば、「調子が悪くてもコンスタントに5m50が跳べるようにならなくてはいけない」という。

 そして、2020年東京パラリンピックの時には、表彰台へのカギとなる「6mを跳びたい」と言い切る。

 2020年の東京パラリンピックは、「陸上人生の集大成」と位置づける。理想のジャンプとメダル獲得への思いを胸に、澤田は挑戦を続けていく。

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