ゴールボール男子日本代表、メダルを狙った世界選手権で無念の9位 (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by JAPAN GOALBALL ASSOCIATION ICHIKAWA RYO

 それでも過去最高順位ではあったが、池田貴HCは、「悔しい。もっと(上に)いけたと思う。それだけの力はついている」と無念さを口にし、「勝負どころの守備力」を課題に挙げた。

 男子の試合は豪快な投げ合いで点の取り合いになることもよくあり、二桁得点も少なくない。それだけに、安定した守備力を兼ね備えたチームでなければ勝つことは難しい。ゴールボールには、守備側がボールに触れてから10秒以内に相手コートに投げ返すというルールがあり、ボールをしっかりキャッチできないと、余裕をもった攻撃を組み立てられないからだ。

 試合を左右する守備の要が、「センター」だ。3人の真ん中に位置し、ボール音や足音を手がかりに相手ボールがどこから来るかをすばやく察知して守備の陣形を統率する。また、相手の弱点を見極め、守備の壁をこじ開けるために攻撃を組み立てるゲームメイクも担う。

 川嶋悠太(アシックスジャパン)はここ数年、男子日本代表で不動のセンターを務めている。ボールの位置を察知することを「サーチ」というが、彼は研ぎ澄まされた聴力と感性によるサーチ力で、相手ボールの位置を瞬時に把握すると、「右」「中」などとウイングに指示を出し、3人で連係し守備の壁をつくる。高さ1.3m、横幅27mのゴールを小柄な日本チームが守り切るにはどこに壁をつくるか、その精度が重要だ。

「壁の位置をボールに合わせて動かして守りながら、攻撃ではウイングのよさを引き出せる戦略を意識している」と川嶋。

 池田HCは彼の長所として、優れたサーチ力を挙げる。「相手の攻撃の特徴を短時間で把握し、両ウイングへの的確な指示が出せる。攻守両面でチームの指令塔」と絶対の信頼を寄せる。

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