国枝慎吾が新コーチと始動。ラケット、車いすも新たに全仏へ挑む (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 その後は、今年4月のテグオープン(韓国)で優勝、さらに世界トップランカーが集結した5月のジャパンオープン(福岡)でも単複でファイナルまで進出するなど、好調を維持している。

「ただ、改良したバックハンドをストロングポイントにするには、もう少し時間がかかると思います」と国枝。

「まだ感覚を掴んで半年。出来としては7割くらいですが、それだと初心者をちょっと抜け出したくらいの感じ。ここからいろんなバリエーションを増やしていきたいと思っています」と、"伸びしろ"を口にする。

 また、これまでは練習のほとんどの時間をバックハンドの改良に費やしていたが、競技用車いすでバケットシートを採用したり、ラケットのメーカーを変えるなど、用具の刷新も同時進行で行なっていた。「この挑戦も大きかった」と国枝は言う。

「用具が固まってきたことで、フォアやサーブの練習はほぼしていなかったのに、よりアグレッシブなプレーができるようになって、集中力が高まってきた。いまはこうやって打てばもっといいボールがいくんだなっていう体験が、2週間に1回くらいあるんですよ。いろんな発見があるから、テニスを始めた時みたいに、楽しくやっています」

 この4月から、国枝は岩見亮(たすく)コーチとタッグを組んでいる。岩見氏は元プロテニス選手で、現在は吉田記念テニス研修センター(TTC)のヘッドコーチを務めており、「新しい角度からテニスを見たい」と、国枝のほうから岩見コーチに声をかけたという。

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