車いすバスケ香西宏昭、ブンデス決勝で得た経験を日本代表に伝えたい (3ページ目)

  • 斎藤寿子●取材・文・写真 text&photo by Saito Hisako

 しかし、第1Qでつかんだ流れを、ブルズは決して手放さない。スタメンだけでなく、途中交代したベンチメンバーたちも次々とシュートを決める。その様は、リーグ戦やドイツカップで最後の最後に香西に決められた1本のシュートで喫した"劇的敗戦"の悔しさを、ここぞとばかりに晴らしているようにも見えた。

 結局、ランディルは52-85で敗れて連覇は逃してしまった。香西にとって、初めてのファイナルは悔しさが残る結果となったが、決して下を向いてはいない。

「試合には負けてしまいましたが、チームはHCも替わり、選手も入れ替わるなかで、昨年とはまったく違うバスケで準優勝に終われた。自分にとっても初めてのファイナルは、今後につながるいい経験になりました。一番の収穫はメンタル面。『ファイナルだから』と浮足立つこともなく、ふだんのリーグ戦と同じように落ち着いて試合に臨むことができたのは、よかったと思います」

 実は、ランディルとブルズとの対戦は、これが最後ではない。ヨーロッパクラブチャンピオンを決めるEuro Cup Champions Leagueの決勝ラウンド「Final4」が、5月4、5日にある。予選、準決勝ラウンドを勝ち抜いてきたスペイン、イタリア、そしてランディルとブルズのドイツ2チーム、合わせて4チームでのトーナメントが行なわれる。その初戦で両チームはまたも対戦するのだ。"因縁の対決"ともいえる両チームにとって、今シーズン4度目の対戦は果たしてどんな結果となるのか。

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