東京五輪まで2年。ブラインドサッカー日本代表は「強豪国と激戦」 (4ページ目)

  • 井上俊樹●取材・文 text by Inoue Toshiki
  • 高野洋●写真 photo by Takano Hiroshi

 日本の背番号10を背負う川村は、アクサ生命保険株式会社に勤務し、Avanzareつくばでプレーしている。あんま・マッサージ・指圧師の資格を持ち、プレーでも人としても尊敬を集めるキャプテンは、同じ東京パラリンピックを見据える若い世代にとっても憧れの存在だ。ナショナルトレセンのメンバーとして大会の期間中強化試合に参加していたAvanzareのチームメイト森田翼も、川村を尊敬しているひとり。彼もまた夢に向かい、理学療法士になるべく現在、臨床試験に臨んでいる。

 フランス戦後、川村は「(総得点差で決勝に進めなかったことは)僕たちが与えられている試練、経験をさせてもらっているんだということをチームで話しました。『今が自分たちが成長するチャンスだ』と。これまで取り組んできている、攻撃的なサッカー、自分たちが主導権を握るサッカーをヨーロッパの強豪相手でも発揮できている、という実感はあります」と姿勢よく、自信に満ちた表情で語った。

 大会5日間で延べ3094人もの観客が観戦に訪れ、ボランティアスタッフも延べ274人が参加した。ブラインドサッカー体験教室やフードコートも盛況で、花見がてらサッカーとスタジアムグルメを楽しむ家族連れ、カップルの姿も数多く見られた。新しい季節にふさわしい清々しい大会となった。

 同大会は引き続き、今後2年間は同会場にて行なわれる予定だ。大会の映像も引き続き公式HP で楽しむことができる。優勝したアルゼンチンの魔法のようなプレー、そして日本代表の心技体揃った勇姿と妙技を堪能してほしい。視界を遮られている世界で繰り広げられる戦いだからこそ、それは決して大げさな表現ではない。ブラインドサッカー日本代表は、2020年東京パラリンピックでのメダルを、チームスタッフ一丸となって本気で獲りにいこうとしている。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る