平昌で全敗のパラアイスホッケー日本。再起へ待ち受けるイバラ道 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Photo Service One/Uehara Yoshiharu

 個人レベルで見ていくと、海外チームには日本の平均年齢より「年上」の選手たちが意外といる。スウェーデンには、ゴールキーパー以外にフォワードにも50代中盤の2選手がエントリーし、日本に勝って7位の成績を収めている。また、ノルウェーのペデルセン(DF)は48歳ながら高い突破力と威力抜群のシュートが持ち味で、日本戦でハットトリックを決め、勝利に大きく貢献している。それぞれ滞氷時間の差はあるにしろ、彼らが年齢に関係なく高いパフォーマンスを見せたことは特筆しておきたい。

 日本が海外勢のスピードとパワーに対応しきれなかったのは、"試合勘"の不足が一因と言える。パラ直前には長野での国際大会やイタリア遠征で、韓国、チェコ、ノルウェー、アメリカと対戦しているが、重要なのは年間を通して継続的に格上との海外マッチを組むことだ。

 日本は前回ソチ大会の出場を逃したことで、その機会を逸した。時を同じくしてバンクーバー大会よりも世界の競技レベルが一段階上がり、さらにソチまでの4年間は新興勢力のロシアが伸びて、日本とトップレベルとの差は開くばかりだった。

 陸続きで移動しやすいヨーロッパや北米は、強豪同士で試合が組める。そんな中、わざわざ長距離移動をして格下の日本にまで足を運ぶ必要はない、というのが本音だろう。その点は同じアジアの韓国にも言えることだが、韓国にはパラリンピック開催国というアドバンテージがあった。彼らはそれを存分に生かし、強豪国との試合を繰り返して強化に励み、銅メダルという形できちんと結果を残した。

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