ノルディックスキー新田佳浩。8年ぶりパラ金メダルまでの過酷な日々

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by Sho Tamura/AFLO SPORT

 平昌パラリンピック冬季大会9日目となる17日、クロスカントリースキー男子立位10kmクラシカル。新田佳浩(日立ソリューションズ)が終盤での見事な逆転劇で、2冠に輝いた2010年バンクーバー大会以来となる金メダルを獲得した。

金メダルを獲得し、笑顔で平昌パラリンピックを終えた新田佳浩金メダルを獲得し、笑顔で平昌パラリンピックを終えた新田佳浩「前回は取りたいと思って取った金。今回は苦しい展開でしたが、自分自身が最後まで諦めずに滑れば、結果は後からついてくると思って滑った。自分の力を出し切ることが一番大事だった」

 レースは1選手ずつ30秒差でスタートし、1周約3.5kmを3周回するコースで争われる。22人目に勢いよくスタートした新田はいきなり、板を滑らせる溝(カッター)の段差につまずき転倒するも、「まだ10kmある」と立ち上がった。

 3周目に入る手前のタイムは3番目だったが、ここからが新田の真骨頂。「金メダルだけのために練習してきた。こんなところで負けちゃいけない。自分ならできる」と言い聞かせながら、支えてくれたあらゆる人の姿を思い浮かべ、力にした。

「腕がちぎれても、足がちぎれても、心臓が壊れても、ゴールしたときに出し切らないと、後悔する」

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