チェアスキー森井大輝、滑降から回転まで「オールラウンダー」の誇り

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Photo Service One/Uehara Yoshiharu

 チェアスキーヤー・森井大輝(トヨタ自動車)の5大会目のパラリンピックが幕を下ろした。5種目にエントリーしたうち、初日の滑降で銀メダルを獲得。最高のスタートを切ったが、続くスーパー大回転は8位、スーパー複合と大回転は途中棄権、最後の回転は4位に終わり、再び表彰台に上がることはできなかった。

最終種目の回転で雪質のよくない中でも滑りきった森井大輝最終種目の回転で雪質のよくない中でも滑りきった森井大輝 17日に行なわれた回転の1本目は、硬いバーンでバランスを崩して旗門不通過となる選手が31人中16人も出た。「回転のスペシャリスト」として連覇を期待された鈴木猛史(KYB)のほか、狩野亮(マルハン)、夏目堅司(RDS)もフィニッシュできなかった。そんな荒れたレース展開のなか、意地を見せたのが森井で、まずは5位につけた。

 雪の表面が少し緩んだ2本目。会場につめかけた多くの日本人応援団から大声援が送られるなか、スタートを切る。急斜面で暴れる板を制御しながらもスピードに乗ってタイトに攻め、あと4人を残してトップに立った。

 しかし、続く3選手が森井のタイムを上回る。3位の選手とのタイム差は、わずか0.25秒。森井は「今できる最大の滑りはできた」と言葉を絞り出した。

 期待された金メダルはなかったが、滑降の銀メダルは自身通算5個目のメダルとなった。(※2006年トリノ大会の大回転で銀、バンクーバーの滑降で金、スーパー大回転で銅、ソチのスーパー大回転で銀

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