パラスノーボード成田緑夢。リスクを恐れず、攻め続けて金メダル (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Photo Service One/Uehara Yoshiharu

 結果としてついてきた「金メダル」については、「LL2のレベルは高く、今回は誰が勝ってもおかしくない僅差だった。ほんの少しのことでゼロコンマ何秒変わる世界で優勝できたのはアスリートとしてうれしい。最高の気分です」と語る。

「障がいを持っている人、ケガをして引退を迫られている人、一般の人に夢や感動、希望、勇気を与えられるアスリートになりたい」

 成田がよく口にする言葉だ。今回のパフォーマンスで、その想いは多くの人に届いたに違いない。

 男子LL1(大腿障がい)の小栗大地(三進化学工業)は、転倒があり6位だった。1本目は1分00秒16。2本目はコースアウトして失格。最後のランではカーブでバランスを崩しながらも滑り切り、58秒47をマークして意地を見せた。

「3本とも転倒してしまい、いいところがなく、残念。まだまだ実力が足りないし、練習も足りない」と小栗は振り返る。

 14あるバンクのうち、序盤の4番目で手こずった。手前の落ち込みで身体が浮き、傾斜がきつくなる後半でターンが遅れて体勢を崩した。12日のスノーボードクロスでは、決勝トーナメント1回戦でスタートゲートの故障で40分ほど待たされる不運もあり、7位に終わっている。

 小栗は元プロのスノーボーダー。毎年夏に遠征していたニュージーランドで、今大会アルペンスキーで出場している三澤拓(SMBC日興証券)と知り合った。右脚1本で急斜面を滑走する三澤の姿に、大きな刺激を受けたという。

 その後、小栗は職場の事故で右脚を切断。退院した時に三澤に連絡を取った。

「普段どう生活しているのかアドバイスをもらった。拓の滑りを知っていたので、脚を切断した時も冷静でいられたと思う」

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