平昌パラで毅然と裁く、パラアイスホッケーの日本人レフェリー (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Photo Service One/Uehara Yoshiharu

「代表選手はおらず、そこまで高いレベルではなかったけれど、いい準備ができました」と山口さん。できるだけ多くの試合を観て、学ぶ姿勢も忘れない。今大会も先輩レフェリーたちの姿は、ひとつの目標になっている。トリノから今回の平昌大会まで4大会連続で出場しているジョナサン・モリソンさん(アメリカ)や、パラリンピックは初めてながらレフェリー経験豊富なケビン・ウェビンガーさん(カナダ)ら、ベテランの動きをチェックする。

「アクションも大きく、自信を持ってジャッジをしていますよね。パラアイスホッケーに関わって長いし、やはりうまい。彼らと一緒に吹けるのはうれしいことです」

 大会はいよいよ大詰めを迎えている。アイスホッケーのレフェリーは原則、自国チーム以外の試合を担当するが、メダルマッチで吹く予定は今のところない。

「できるだけ多くの笛を吹きたい」と意気込んで臨んだ平昌パラリンピックを、「結果は(担当した試合数は)希望通りにはいきませんでしたが、いい経験でした。色々な仲間たちと一緒に組んで、試合を吹く機会があったことは誇りに思います」と振り返る。

 将来のビジョンを聞くと、「私自身、先輩たちの動きを見て、盗んで、成長してきました。まだまだ習うことがたくさんありますが、いずれ若いレフェリーやラインズマンにアドバイスできる立場になりたいですね」と語った山口さん。平昌パラリンピックでの経験は、そのレフェリー人生に輝かしい1ページを加えることだろう。

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