金メダル43個。メダル総数98個。アジアユースパラの日本が凄い! (4ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • X-1●写真 photo by X-1

「こんなこと言えるのは最初だけですけど、チームとして準備や試合の入り方ができていなかったと思う。マイナスから得るじゃないですけど、残された時間のなかで同世代の中国などにどうやったら勝てるのか、しっかり考えて次に進みたいです」

 実直で全力。ゴールボールに真剣だからこそ感じたプレッシャーが佐野の糧になる。

 しなやかなスイングから繰り出されるショットは、練習を重ねてきた通り目標球の前の位置でピタリと止まる。13~21歳のジュニアで争われたボッチャ(脳性まひ者らの男女混合の競技で、パラリンピックでは障がいの程度によりBC1~BC4にカテゴリー分けされる)の会場に、伊藤彩水(あやみ・21歳)の姿はあった。

 彼女が戦場とする「BC2」は、リオパラリンピックの団体戦で銀メダルを獲得した日本の2大エース杉村英孝と廣瀬隆喜が属するクラス。中学2年からこの競技を始め、すぐに頭角を現した伊藤だが、今年7月の日本ボッチャ選手権大会西日本ブロック予選会では、混戦を勝ち抜くことができず本戦へ進出できなかった。本戦で上位にならなければ、日本代表メンバーになれない。それどころか目標とするふたりとの対戦も叶わず、「どうしたらいいのかわからなくなったしまった」と落ち込んでいた伊藤は、杉村を育てた名コーチの内藤由美子さんの言葉で心が救われたという。

「ファーストボールをきちんと決めるとか、寄せられたら弾くとか基本的なことをひとつずつやっていくと木は葉をつけて大きくなっていく。それができると予選会で勝てて、本戦に行けて、そこから強化選手になるとパラリンピックに出れるよと、順序立てて教えてくれたんです」

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