「普通の人」が金メダリストに。ゴールボールが変えた、浦田理恵の毎日 (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 竹藤光市●写真 photo by Takefuji Koichi

 ゴールボールを始めてすぐの頃は、元々スポーツが苦手だったこともあり、いろいろな壁にぶつかった。例えば、ボールの大きさはバスケットボール大だが、重さは約2倍の1.25kgもあり、最初は両手でしか投げられず、体を張って行なう守備練習では突き指や打撲などケガも絶えなかった。

 ゴールボールでは不可欠の「聴く力」も弱かった。ボールの鈴の音は聞こえても、正確な位置までは聞き分けられず、止められない。「センスないなぁ」と落ち込むばかり。「辞めたい」と思ったことは1度や2度じゃなかった。

 それでも続けられたのは、「大丈夫。みんな最初はそうだったよ」という仲間たちの言葉のおかげだ。信じて、ただ努力するうちに、数カ月でボールは片手でも投げられるようになり、速いボールでもしっかり止められるようになった。

「努力すれば、やっただけ結果が出る。もっとがんばれば、もっとうまくなれるはず」

 可能性を信じて取り組むうちに、ゴールボールの練習が日常生活にも役立つことを実感した。9m×18mのコート内を自由に動けるように、「3m先のラインまでは何歩」「センターの位置まではこの角度に何歩」など繰り返し練習する。おかげで距離感が身につき、外出への恐怖も薄れた。

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