シンプルだけど奥深い、パラスポーツ「ボッチャ」の魅力は生観戦で (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by Murakami Shogo(人物)、 AFLO SPORT(競技)

 日本は初出場だった2008年北京パラリピックではチーム戦で予選敗退、2012年ロンドン大会では7位入賞だった。リオでのメダル獲得は、技術と戦略を高める地道な努力が実った格好だ。その陰には用具の進化も大きかったという。リオ大会のヘッドコーチを務め、現在は日本ボッチャ協会強化指導部長の村上光輝氏は明かす。

「選手にとって用具は体の一部であり、自分のやりたいことを表現する手段です。最大限のパフォーマンスを発揮するには用具とのマッチングが重要で、選手に合った用具を探したり、調整したりする。リオではそのプロセスがうまく機能しました」

 工夫する用具の代表格はボールだ。赤6個、青6個、白1個の13個を1セットとして、トップ選手の多くは、「マイボール」セットを持ち、2~3セットを使い分けることもあるという。規定の範囲内ならば、大きさや柔らかさなどをカスタマイズできるからだ。例えば、重さは275gにプラスマイナス12gの範囲で調整できるので、自分に合うように詰め物の量を加減したりする。

 また、素材には規定がないため、これもカスタマイズのポイントになる。同じ赤でも色が微妙に異なるのは革やフェルトなど素材の違いによるものだ。天然皮革は染料によっても硬さなど感触が変わり、転がり方にも違いが出てくるという。試合途中に化粧品用オイルを塗ることでも調整できる。投球にバリエーションができ、戦略の幅も広がっていく。

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