パラアイスホッケー日本代表、苦難の7年を乗り越えて掴んだ平昌キップ (5ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・撮影 text & photo by Araki Miharu

 また、家族の存在も力になっている。「高校1年の長男が、野球部の仲間たちにLINEで『今回、自分の父さんが出るから応援してください』って、言っていたみたいで。普通だったら、足がない(右下腿切断)お父さんを見せたくないだろうと思うんだけど、自慢に思ってくれているというか。それがうれしくて、こっそりベッドでひと泣きしました(笑)。ずっと、3人の子どもたちにとって格好いいお父さんでありたいという気持ちがあったので、今回、胸を張って帰りたいですね」

 長いトンネルを抜け、ようやくメダル争いのスタートラインに立った日本代表。パラリンピックまで、あと5カ月。世界のトップが集まるパラリンピックの舞台は、最終予選とはスピードも得点力もまるで違う。とくに、2強のカナダとアメリカはもはや別次元の強さだ。「いったいどうやったら勝てるのか......と思うけれど、平均年齢が高い(41.5歳)とか言っていられない。やるしかない」と須藤。日本はミスを減らし、プレーの精度を高めること、また今大会は出場機会が少なかった第3セットを早急にボトムアップしていくことが、まずは重要になる。

 11月には2度の強化合宿を予定しており、来年1月には長野で国際大会を開催する見込みだ。本番まで時間は少ないが、大きな壁を自分たちの力で乗り越えた今の日本チームなら、さらなる高みに到達することも可能とみる。"真の強さ"をまとい、平昌に乗り込むことができるか。パラアイスホッケー日本代表の新たな戦いが、ここから始まる。

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