パラアイスホッケー日本代表、苦難の7年を乗り越えて掴んだ平昌キップ

  • 荒木美晴●取材・文・撮影 text & photo by Araki Miharu

 5カ国が参加し、「3」枠を争ったパラアイスホッケー平昌パラリンピック最終予選(10月9日~14日、スウェーデン)で日本代表は2位に入り、2010年バンクーバー大会以来、2大会ぶりのパラリンピック出場を決めた。

チームのエースとして、今大会活躍した熊谷昌治(左)チームのエースとして、今大会活躍した熊谷昌治(左) 最大のヤマ場だった初戦のドイツ戦では開始早々、先制点を挙げたことで勢いに乗った。攻守の要・三澤英司(北海道ベアーズ)が負傷によりチームを離脱する予想外の事態に見舞われたが、全員で守り切り、この試合を6-2で勝利すると、続くスウェーデン戦も3-2で接戦を制した。2勝して勝ち点が「6」となり、他の試合の結果を受けてこの時点で出場権獲得が決まったが、選手は残りの試合も勝つことにこだわった。そして見事、第3戦のスロバキアにも4-2で勝利。最終戦のチェコには0-1と完封負けを喫し、本番に向けて課題は残ったものの、日本の組織力を生かした緻密なプレーによる復活劇は、平昌で待つライバルチームへの強力なメッセージになったはずだ。

 銀メダルを獲得した2010年バンクーバー大会以降は、茨(いばら)の道が待っていた。選手の引退や故障などで総合力が低下し、歯車が狂い出す。世界選手権で2度のBプール降格、前回ソチ大会の最終予選ではまさかの敗退。結果が思うように出せない苦しい期間が、実に7年も続いた。それでも、「やればできるチームだから」(キャプテン・須藤悟/北海道ベアーズ)と我慢強く強化を重ね、また安中幹雄、上原大祐(ともに東京アイスバーンズ)、中村稔幸(長野サンダーバーズ)ら一旦は代表を離れたメダリストたちも覚悟と使命感を持って復帰したことで、少しずつ前に歩み出したのだった。

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