「君もやってみないか?」の勧誘でパラ・パワーリフティングが強化中 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 男子65kg級の篠田雅士(パワーハウス)と88kg級の南出悠有(みなみで・ゆう/個人)は、今年5月に東京・上野公園で行なわれた体験会に参加し、競技を始めた。競技の普及と人材育成に力を入れる日本パラ・パワーリフティング連盟では、全国で開かれるパラスポーツの体験会で積極的に広報活動をしており、彼らの存在はその成果といえる。

 転向組の選手には、冬季競技出身の選手もいる。男子97kg級の馬島誠(個人)は、元アイススレッジホッケー日本代表でバンクーバーパラリンピックの銀メダリスト。また、女子50kg級のマクドナルド恵理(日本財団パラリンピックサポートセンター)は女子アイススレッジホッケーのプレーヤーでもあり、男子59kg級の戸田雄也(個人)は車いすカーリングの選手でもある。3年後の大舞台を狙う彼らは今大会、それぞれのクラスで優勝し、存在感を見せている。

 また、こんな例もある。男子54kg級の尾上義喜(個人)は今大会が初出場。昨年、偶然会場の近くを通りかかり、「無料だったから」とこの大会を見学していたところ、スタッフに声をかけられた。「来年、出てみない?」。その時は想像もしていなかったが、連絡先を交換したことで、練習場に足を運ぶことに。「最初は渋々やっていたけれど、練習するうちに知り合いが増え、世界が広がっていった。仲間ができた喜びは大きく、競技を続けていきたいと思うようになった」と笑顔を見せる。

 アテネ・ロンドンパラリンピック日本代表で、昨年7月に肘の手術から復帰し、今大会数年ぶりに日本記録を更新した80kg級の宇城元(うじろ・はじめ/順天堂大)は、「新しい選手が増えるのはうれしいこと。究極のメンタルスポーツなので、自分の経験から何か助言をしてあげられれば」と話す。

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