警戒される国枝慎吾。車いすテニス男子のグランドスラムはどうなる? (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 今年の2月下旬から練習を再開し、今はひじに負担がかからないフォームを体に染みこませ、新しい打点を探る日々だ。丸山コーチは「ジャパンオープン前日にもフォームを少し変えた。会場でも迷っていたようだけど、彼のラーニングスピードは非常に速いし、それの積み重ねで元に戻ると考えています。照準はまだ先に置いているし、焦ってはいないので、今回負けても驚きません」と話す。

 当初の復帰プランとしては、夏ごろの復調、9月の全米オープン出場を視野に入れているとしていたが、先週、6月の全仏オープンにワイルドカードで出場するというニュースが飛び込んできた。ひじのことを考え、「無理をするつもりはない」が、「早くグランドスラムに戻りたい」と話していた国枝の願いが叶った格好だ。

「クレーは1年ぶり。みんなスピン量が多くなるので、そのなかで打ち切れるかどうか。それも含めて楽しみです」と話すと、国枝はようやく笑顔を見せた。

 ライバルたちも国枝のカムバックを歓迎する。国枝に憧れるフェルナンデスは「僕はシンゴからテニスを学んだ。シンゴが復帰してうれしい」と言い、リードも「彼はベストプレーヤー。戻ってきたので要注意です」と気を引き締めている。

 男子の世界トップ選手の勢力図に目を移すと、現在、その実力は非常に拮抗しており、誰が勝ってもおかしくない状況だ。世界1位のウデは46歳。リオではシングルスでメダルを逃したが、ダブルスでは後輩のニコラス・ペイファーと組んで金メダルを獲得した。ペイファーとは20歳の年の差があるが、ウデは「互いに助け合える存在」とし、彼の活躍から刺激を受けている様子だ。

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