車いすマラソン土田和歌子がトライアスロンでも優勝。東京はどうする? (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 この日、スタートラインで感じた怖さと楽しさが入り混じった心境は初マラソンに挑んだときに似ていたそうで、トライアスロンという新たな舞台での快走に、「たまらないですね!」と声を弾ませた。

 とはいえ、トライアスロン挑戦は偶然からだったという。昨年11月、激しい運動で発作が起こる運動誘発喘息を突如として発症。治療のために今年に入ってから水泳を始めると、根っからのアスリートは、「せっかくやるなら、スキルも磨きたい」とスイムスクールに通いだす。

 ほぼ同時期に、マラソンの強化を目的にハンドサイクルも始めた。手でペダルを漕ぐ自転車で、パラトライアスロンでは車いすクラスのバイクパートで使われている。土田によれば、パラリンピックの翌年はいつも、クロストレーニングを重視しているといい、これまでボクササイズやボルダリングに挑戦したこともあったという。リオ後に取り組んだのが、海外のライバルたちも取り入れているハンドサイクルだった。

 専門の車いすマラソンに加え、スイム、バイクと揃ったことで、自然にトライアスロンへとつながった。本格的に練習を始めたのは2月だったが、4月末にはフィリピンのスービックベイで開催された「ASTCパラトライアスロンアジア選手権」で実戦デビュー。完泳、完走で自信を得た。

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