ウィルチェアーラグビー悲願のメダル獲得も、
すでに思いは4年後へ

  • 宮崎俊哉●文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO SPORTS

 リオデジャネイロパラリンピック、ウィルチェアーラグビー3位決定戦。

 試合終了のブザーが鳴り響くと、エースの池崎大輔が、ボールを天井に向けて高々と叩き上げた。キャプテンの池透暢(ゆきのぶ)が猛スピードで池崎に駆け寄る。2人は抱き合ったが池の勢いに押され、池崎は車イスごと転倒した。起き上がった池崎はトレードマークの眼鏡を外し、涙をぬぐった。

池崎大輔はエースとして、池透暢はキャプテンとしてチーム支え、見事銅メダルを獲得した池崎大輔はエースとして、池透暢はキャプテンとしてチーム支え、見事銅メダルを獲得した 池が全員に集合をかける。選手12名、さらにコーチ、スタッフ8名。カリオカアリーナに20人の大きな輪ができた。互いの健闘を称え合い、喜びを分かち合い、輪を解くと観客席に向かって拳を突き上げ、大きく手を振り、深々と頭を下げた。日本はリオデジャネイロパラリンピックで悲願のメダルを獲得した。

 2004年アテネ大会からスタートしたウィルチェアーラグビー。アテネ8位、北京7位、ロンドン4位と日本は着実に順位を上げてきた。そして、2015年11月に行なわれたアジア・オセアニアチャンピオンシップでは、ロンドン大会金メダル獲得、前年の世界選手権優勝の強豪オーストラリアを撃破。今年5月のジャパンパラ競技大会ではアメリカに2連勝し、6月のカナダカップでは当時、世界ランキング1位のカナダを倒した。

 日本をはじめ、オーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリスの5カ国の実力が拮抗するなか、選手たちはみな「自分たちにとってリオでのメダル獲得は"目標"から"使命"に変わった」と語るようになった。

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