53歳、短距離界のパイオニア。
永尾嘉章が挑んだ7度目のパラリンピック

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと/MAスポーツ●写真 photo by Yoshimura Moto/MA SPORTS

 日本選手団の主将を務めた04年のアテネ大会は、男子4×400mリレーで銅メダルを獲得したが、個人ではまだない。パラリンピックにおける個人種目でのメダル獲得は、自身にとっても、日本短距離界にとっても悲願だった。

 永尾の陸上競技のキャリアは軽く30年を超える。現在、53歳。決勝レースでは、永尾を除く7選手の平均年齢は30.1歳で、永尾が断トツの最年長だが、「スタートラインに立てば、全員がライバルだから」と意に介さない。

 7大会目にして「メダルに一番近い大会だった」と言えるのは、それだけスケールアップしてきた自負があるからだ。たとえば、14年の仁川アジアパラ競技大会(韓国)の100mでは2位に入り、個人種目では実に1999年以来となるメダルを獲得した。また昨年の6月には、スイスの国際大会の100mで、当時の世界ランク5位に相当する14秒07をマーク。自身が持つ日本記録を15年ぶりに塗り替えた。

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