【車いすテニス】銅メダルの上地結衣、東京で「打倒オランダ」の決意

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと/MAスポーツ●写真 photo by Yoshimura Moto/MA SPORTS

 リオで最後に臨んだのは、決勝の舞台ではなかった。あと一歩届かなかった金メダル。それでも気持ちを切り替え、3位決定戦では最後のショットまで全力で追いかけた。あふれる涙は激闘の証。上地結衣(かみじ ゆい、エイベックス・グループ・ホールディングス)は、車いすテニス日本女子選手として初めて銅メダルを獲得し、パラリンピックのメダルホルダーとなった。

東京パラまでの4年間でさらなる成長が期待される上地結衣東京パラまでの4年間でさらなる成長が期待される上地結衣 リオパラリンピック女子シングルスの3位決定戦。上地はディーデ・デ・フロート(オランダ)と対戦し、6-3、6-3で勝利した。第1セット序盤は互いにブレークする展開に。第5ゲームをキープすると、鋭いコースで勝負をかけ、第1セットを奪った。続く第2セットは上地が2-0とリードするが、パワーのあるフロートがバックハンドのクロスからゲームを組み立て、プレッシャーを与えてくる。だが、「しっかりとラリーを続けていればチャンスはある」と冷静に対応して5-3と引き離し、そのまま勝利へと持ち込んだ。

 5日間で、シングルスとダブルス合わせて8試合をこなした。後半はフルセットマッチが3回続き、いずれも落とした。肉体的にも、精神的にも、限界を迎えていた。「これだけのゲーム数をして、これだけ負けたこともなかった」。

 そんな本音をぽろりとこぼす上地を支えたのは、メダルへの想い、そして支えてくれた人たちへの感謝の気持ちだ。

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