2016.09.15

以心伝心でともに戦う。
選手を支えるボッチャの競技パートナー

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと/MAスポーツ●写真 photo by Yoshimura Moto/MA SPORTS

 大西さんは、高橋選手の指示を受けながら、ボールの種類や順番、投げる強さや音など、限られた情報から試合を「想像」する。そして、そこから選手がやりたい展開をイメージしていくそうだ。

 リオの初戦では、ポルトガルの選手を相手に第1エンドで3点を先取。続く第2エンドでも1点を追加した。その後、相手に2点を取られたが、4-2で逃げ切った。続く2戦目は世界ランク8位のイギリスの選手と対戦。第1エンドの最後の一球をジャックにピタリと寄せ、3点を入れた。しかし、第2エンドで2点を返されると、第3エンドでわずかに投球が狂い2失点。最終エンドでも追加点を入れられ、3-5で敗れた。予選敗退が決まり、高橋選手は「(ミスが出た)第3エンドを取らなきゃいけなかった。相手の実力のほうが上だった」と悔しさを滲ませた。

 ランプを使う場合、難しいのが投げるより「転がす」ボールだという。ボールを離す角度や床の材質などで球筋に違いが表れやすく、しかも同じ会場でもコートによって転がり具合が異なる。リオではこの感覚を掴むことに苦労した。

「試合の中で修正しましたが、なかなかうまくいきませんでした」と大西さんは振り返った。

 高橋選手と大西さんの出会いは、偶然だった。高校卒業後、大西さんは鉄道車両メーカー勤務を経て、青年海外協力隊員としてジブチ共和国の職業訓練学校に赴いた。帰国後、埼玉大で学びながら、障がい者の生活をサポートする福祉施設で働いていた時、そこでたまたま高橋選手と知り合った。