リオパラリンピック開幕。日本の有力選手・注目選手は誰だ? (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●文 text by Miyazaki Toshiya

 陸上では、ロンドン五輪の金メダル記録8m31を上回る8m40の世界記録を持ち、リオ五輪出場を熱望しながら夢を絶たれたドイツのマルクス・レームが出る男子走入幅跳に世界の注目が集まるが、日本勢にも有望選手がいる。

 レームが出場する片脚ヒザ下切断のT44クラスとは異なるが、同じく走幅跳に出場、金メダルを狙うのが、大腿部切断で人工的なヒザを使用しているT42クラスの山本篤(スズキ浜松)だ。バレーボールに打ち込んでいた高校時代、バイク事故で左脚を大腿部から切断。義足を装着してパラ陸上に転向すると、北京パラリンピックで銀メダルを獲得し、2015年世界選手権では優勝。今年5月に行なわれた日本選手権では、T42クラスの当時世界記録6m56をマークした。山本は100m、リレーにも出場する。

リオで3大会出場となる中西麻耶にメダル獲得の期待がかかる photo by Ito Shingo/AFLO SPORTリオで3大会出場となる中西麻耶にメダル獲得の期待がかかる photo by Ito Shingo/AFLO SPORT T44クラスの女子走幅跳では、中西麻耶(うちのう整形外科)が5月の日本選手権でアジア記録となる5m51の大ジャンプを見せた。北京パラリンピックでは100m6位、200m4位入賞を果たし、ロンドン大会から走幅跳にも挑戦。現在、世界ランキング2位まで上がってきた。4月の熊本地震では大分県の練習拠点も被害を受け、練習もままならぬ状態が続いていた。苦境のなかからメダル獲得を目指す。

 一方、陸上トラックでメダルに最も近いのは、女子100m、200m、400mに出場する辻紗絵(日体大)だろう。先天性前腕欠損ながら、ハンドボール選手として高校時代にはインターハイ、国体に出場。日体大ハンドボール部に進んだが、瞬発力を買われて2015年パラ陸上に転向した。わずか1年で日本記録を次々と更新し、今年に入って100m世界ランキング3位の記録を叩き出して、一躍メダル候補に躍り出た。リオに向けて右腕にアスリート用の義手を着けるようになり、体のブレも解消。メダル獲得とともに、とびきりの笑顔に人気が集まる。

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