国枝慎吾も復活。車いすテニス国別対抗戦で見せた日本勢のメダル

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと/MAスポーツ●写真 photo by Yoshimura Moto/MA SPORTS

 手探りで始まった今大会。準優勝に終わったが、国枝にとっては現状を確認し、次に取り組むべき課題を明確にする機会になった。大会直前には、丸山弘道コーチとナショナルトレーニングセンターで泊まり込みの強化合宿を実施。試行錯誤の末、右ひじの負担を減らすためにパワーを重視したラケットに変更し、試合に臨んだ。イギリス戦では、姿勢が立ち気味になっていたことから、重心を前寄りに修正し、本来のプレーに近づけることができた。

「初日と比べると、ずいぶん自分らしいテニスができるようになった」と大会を振り返った国枝。また、「ウデに負けて悔しさが込み上げてきた。リオまでの3カ月間で何とかなるという手ごたえも感じた」と話し、2日から始まる全仏オープン、ウインブルドン、そしてリオでのリベンジを誓った。

リオパラリンピックでメダル獲得を狙うクアードの諸石光照リオパラリンピックでメダル獲得を狙うクアードの諸石光照 また今大会、国枝に注目が集まる一方で、観客から大声援を送られたのがクアードで、日本は銅メダルを獲得した。

 決勝トーナメント進出をかけた予選リーグの最終戦で前回優勝のアメリカと対戦。第1試合は川野将太(シーズアスリート)がフルセットで勝利し、まず先勝。続く第2シングルスは諸石光照(フリー)が世界ランク2位のデビッド・ワグナーに敗れたが、ふたりがペアを組むダブルスで新たな境地を開いた。相手はパラリンピック3連覇中のワグナー・テイラー組で、セットカウント1-1の大接戦に。スーパータイブレークに突入すると、序盤こそアメリカにリードを許したが、そこから日本が6連続ポイントで巻き返し、劇的な勝利を収めた。

 障がいに応じて、手とラケットをテープで固定することができる。ショットのスピードや試合展開はスローだが、長いラリーからじわじわと相手を追い込む頭脳的な戦略、そして強靭なメンタルがクアードの見どころだ。諸石と川野は、そのクアードならではの粘りのプレーで世界王者を追い詰め、結果を残した。ふたりは「優勝は逃したが、アメリカに勝って3位という結果はパラにつながる」と話す。

 リオでは悲願のメダル獲得に挑む日本クアード勢にも注目だ。

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