【車椅子バスケ】リオパラまで4カ月、日本の「ダブルエース」が激突 (2ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 加藤よしお●写真 photo by Kato Yoshio

「連覇をすると、どうしても自分たちが強いと勘違いをしてしまうもの。負けを経験したことで、勝ち続けていると忘れてしまいがちな『勝ちたい』という思いが皆に戻ってきた」とベテランの藤井新悟は言う。さらに言えば、チームには藤本不在で選手権を迎える覚悟もあった。

 そんなチームに応えるかのように、エースは昨年以上に成長した姿を見せた。決勝の千葉ホークス戦では、3枚のビッグマンに対し、決してひるまず強い気持ちで立ち向かおうとコートに入り、それを遂行した。

 試合後「ファーストコンタクトに強度があり、やりにくかったが、ファールをされても、自分のショットを続けることにこだわった」と話したように、屈強な相手のマークにも動じることなく、常に一本一本の成功率を意識しながらシュートを打っていく。それは、ドイツで習得したことのひとつなのだろう。常に70パーセントの高いアベレージを目指す藤本は、この試合で実に41得点を記録。優勝と同時に、11年連続となる得点王と3度目のMVPを手にした。

 ゴール下だけではない、どこからでも得点の取れるプレーヤーに成長した藤本は3Pシュートも安定性を増した。各チームから厳しいマークにあう分、パスもさらに効果的になった。インサイドのフリースペースにパスを出せば、ローポインターが走り込む。試合を重ねるごとに息の合うようになったコンビネーションは見事だった。

 決勝で見せた圧倒的な戦いぶり。「それはNO EXCUSEとの準決勝があったからこそ」と、藤本は振り返る。

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