【マラソン】車いすレーサー、山本浩之。50歳で迎えるリオ代表に内定! (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 悔しさをバネに、さらなる進化を目指して取り組んだのがポジションとフォームの大幅な改良だった。ポジションとは競技用車いす(レーサー)の座席の位置のことで、車輪を漕ぎやすくスピードを出せるように高さや前後の位置を調整するのだが、自身の体格や筋力、漕ぎ方などに合わせ、ミリ単位で最適なポジションを探り当てる微妙な作業であり、簡単ではない。車いす選手にとってはトレーニング同様、とても重要なプロセスだ。

 山本も3年間の試行錯誤の末、ようやく今年5月頃からしっくり感じるようになり、安定してきたと言う。「今日はここ数年でいちばん調子がよかった。さらにきっちりとフォームを自分のものにし、ペースも上げたい。1段も2段もレベルを上げてリオに臨みたい」と意気込む。

 また、ようやく見つけた「最適なポジション」に合わせ、この後レーサーも新調する予定といい、万全の体制を整えて集大成の場となるリオへ向かうつもりだ。

「自分では『引退』という思いはない。リオではあくまでも金メダル獲得が第一目標」と力強く話した山本。「まだ成長途中ですね」との問いかけに、「そうですね」と照れたように柔らかな笑顔を見せた。リオ開幕まで、あと10カ月。ベテランならではの経験と調整力、そして変わらぬ向上心に期待したい。

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