ウィルチェアーラグビー・三阪洋行「僕の人生を変えたNZ留学」 (4ページ目)

  • 文●スポルティーバ text by Sportiva
  • 写真●五十嵐和博 photo by Igarashi Kazuhiro

伊藤 事前に準備していかなかったからこそ、手に入ったものかもしれないですね。

三阪 本当にそうです。

伊藤 そこからはトントン拍子に?

三阪 実はそうでもないんです。最初の1か月間はやっぱりきつかったですね。言葉が通じないのも、文化の違いもそうですし、練習も。僕は2002年にニュージーランドに行ったんですけど、2004年のアテネパラでニュージーランドが金メダルを取るんです。その主力がほぼいるチームの練習にいきなり交じっていました。僕は別に日本でもまだ全然、代表にも入れないような選手だったので、ついていくのがやっとでした。あとは、自己主張しないと全然相手をしてくれません。話せないから話すのを拒んで部屋に戻ったりを繰り返して、どんどんコミュニケーションを取るのが苦痛になって、必要な時以外は部屋にいるようになりました。

伊藤 まさに引きこもりですね。

三阪 完全にそうです。1カ月が経った時に体調を崩したのもあって、『この1カ月は何をしたかな』と振り返ったんです。4カ月間の留学と決めて、あと3カ月しかないのに、何も変わってないなと思って。何があかんかったんやろうっていろいろ考えて、"できない、怖い"、というだけで、自分から前に出てないなと。伝わらないのは当たり前で来ているんだから、伝えるための努力をしながら一生懸命やろうと思って、気分転換で何かせなあかんなと思った結果が、坊主でした(笑)。

伊藤 坊主?

三阪 はい。次の日に美容室に行きました。

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