パラ陸上・高桑早生が語る「義足と私の正しい関係」 (3ページ目)

  • 文●スポルティーバ text by Sportiva
  • 写真●五十嵐和博 photo by Igarashi Kazuhiro

伊藤 「自分がちゃんとコントロールできるようしたい」というのは、道具を着けていることも意識からなくなるくらいまで、コントロールしたいということですか?

高桑 どうやったらきれいに歩けるかなってフッと考えたりしています。なので、それは完全に義足のことを意識してるってことですよね。やはり義足には、健足のように太い骨や筋肉は備わっていないので、どうしても血が通うって言っちゃうと健足と同じものを求めてしまいそうで、それが私はちょっと違うんじゃないかなって思っているんです。義足は義足でこいつの動き方が。

伊藤 “こいつ”のね(笑)。血は通ってないけど、情は通ってるという感じがしますね。確かに、健足に似せるということが目標じゃないですものね。

高桑 そうですね。同じ機能は求められないけど、同等のパフォーマンスはしてくれると信じています。そのために自分がどうやって扱っていくのかっていうのを、競技用の義足に関してはいつも考えてますし、日常用の義足でもたまにフッと思ったり。『今、うまく歩けてない』と思ったりすると、どうやったらうまく歩けるんだろうって考えたりします。

伊藤 チームワークみたいですね。

高桑 そうですね。

伊藤 パートナー、相棒……どういう呼び方が一番多いですか?

高桑 “相棒”って呼ぶことが多いですね。

伊藤 なるほど。以前にお話を聞いたときよりも、深く理解できた気がします。でも、いつか道具は古くなりますよね。

高桑 そうですね。昨年、さらに上のステップを目指そうと考えたときに、日本製の板に限界を感じたので、日本製から海外製(オズール社/アイスランド) のものにガラッと替えました。なので、ここ1年は、“そいつ”(義足)をどうやって使うかに試行錯誤していました。

伊藤 “こいつ”“そいつ”って呼び方も、なんとなく高桑選手と義足の関係性が伝わっていいですね。

高桑 ありがとうございます(笑)。

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