リオパラ出場へ手応え。ウィルチェアーラグビー日本代表が優勝

  • 取材・文●斎藤寿子 text by Saito Hisako
  • 写真●越智貴雄 photo by Ochi Takao

 今大会のイギリスは、体調不良でエースが不在だった。戦力が落ちることは明らかで、日本としては勝って当然と言っても過言ではなかった。しかし、ただ勝てばいいわけではなかった。なぜなら、日本が目指しているのは、オーストラリア、カナダ、米国の"トップ3"の中に割って入ることで、そのためにはクリアしなければいけない課題にチャレンジする必要があったからだ。その課題とは「ラインナップの充実」である。

 ウィルチェアーラグビーでは、障害の度合いによって、各選手に0.5~3.5のポイントがつけられており、コート上の4人の合計が8点以内というルールがある。残存機能が多くありポイントが高い選手を「ハイポインター」と言い、反対に重度の障がいをもちポイントが低い選手を「ローポインター」と言う。主にポイントゲッターを務めるハイポインターに対して、ローポインターは相手ディフェンスを止めてハイポインターのためにコースをあけたりするなど、それぞれの役割がある。そのため、どの4人を組み合わせるかによって、戦術も異なるというわけだ。

 現在、日本の最強ラインナップ「ファーストライン」は池崎(3.0)・池透暢(3.0/34歳/Freedom)・若山英史(1.0/30歳/横濱義塾)・今井友明(1.0/32歳/RIZE)の4人。今大会でも、安定した強さを見せ、荻野HCも「他のラインでミスがあっても、ファーストラインで流れを取り戻すことができる」と自信を見せている。

 しかし、このファーストラインだけで勝てるほど、世界は甘くない。ファーストラインの4人をいかに休ませることができるかが日本の課題となっている。そのため、ファーストラインだけでなく、セカンドライン、サードラインといった、さまざまな4人の組み合わせにチャレンジすることが、今大会の最大のミッションとされていた。

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