リオパラに光明。若手が活躍した車椅子バスケ日本選手権 (2ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 加藤よしお●写真 photo by Kato Yoshio

 そんな若手選手にとって実は、この日本選手権はナショナルチームを目指すうえで、最大のアピールの場であり、ひとつ重要な意味を持つ大会となった。というのも、日本代表は今年の10月に、2016年リオパラリンピックの出場権をかけたアジアオセアニアチャンピオンシップ(千葉ポートアリーナ)を控えており、今まさに選手の選考を行なっているところなのだ。

 まもなく予選が始まるリオパラリンピックはもちろん、2020年東京パラリンピックの大舞台でも、日本代表を背負うだろう若手の活躍が今大会は光っていた。

 その筆頭が、佐世保車椅子バスケットボールクラブの鳥海連志(ちょうかい れんし/16歳)だ。まだ高校生ながら、2014年北九州チャンピオンズカップ、今年4月のイースタートーナメント(ベルギー)の日本代表に選出された。中学1年で車椅子バスケットボールに初めて触れて「シュートが届かない悔しさを味わった」という。そこからほぼ毎日ひとりで練習し、競技歴3年で日本代表の座まで上り詰めた負けん気の固まりである。

 チームとしては日本選手権で勝利を手にできなかったものの、体幹をしなやかに使う鳥海の機動力は光っていて、激しいディフェンスで存在感を見せていた。先天性の障がいによる両下肢切断で、両指も欠損しているが、体の軸を意識しながら両手でボールを放つシュートも得意とする。リオ予選に向けては「普段の練習から、トップレベルのパフォーマンスを心がけ、世界で勝ち抜ける力をつけて臨む」と語り、その目は真っすぐと前を見据えていた。

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