復活なるか。アイススレッジホッケー日本代表の挑戦 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 日本代表の中北浩仁監督は、目標設定をAプール残留ラインとなる「6位入賞」としたうえで、初戦のカナダ戦を「勝ち負けより個々の成長をジャッジメントする試合」と位置づける。技術とスピード、ボディチェックの強さを兼ね備える強豪カナダを相手に、"守備"を重点的に強化してきた日本のホッケーの成長度合いを確認し、決勝トーナメント進出のカギとなるチェコ戦、ノルウェー戦に反映させたい考えだ。

 これまでの日本の歩みを確認しておくと、日本は2010年バンクーバーパラリンピックで悲願の銀メダルを獲得した。しかしその後、長年の課題だった若手選手の育成と世代交代が遅れて失速し、2012年の世界選手権で敗れると、Bプールに降格。Bプール世界選手権は2位でフィニッシュして、1シーズンでAプール復帰を決めたものの、ソチパラリンピックの出場権をかけた最終予選で3位以内に入らなければいけないところ、6カ国中5位という結果に。長野大会(98年)から守り続けてきたパラリンピックの連続出場は「4」でストップしてしまった。

 当時、ソチパラリンピック出場を逃したことは、あらゆる場面に影を落とした。冬季パラリンピックの中では、花形競技であるにも関わらず、メディアの露出が減り、まだこの競技を知らない人に広めるチャンスを失った。前述したように、課題だった若手選手の確保と育成はますます苦しくなった。

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